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私の名前はユイユイ。魔獣って呼ばれることもあるけど、それは本能のままに暴れる野蛮なヤツのことよ。種族名であるココパンダーって呼んで欲しいな。

私は今草むらに隠れつつ、あるココパンダーの様子を窺っている。一匹で晩御飯を探しているココパンダーがいるでしょ?あれが私の幼馴染のタメロウ。群れの仲間たちからは何でも一匹でこなせる凄いヤツだと思われているみたいだけど、本当はものすごく無理をした上で一匹孤独に生きているっていう事を、私だけは知っている。そのためか、気が付くと私はタメロウが無理をしていないかし配するようになっていた

そうこうしている内にタメロウがようやく晩御飯となる木の実を見つけた。よかった、と私は胸を撫で下ろしたのだが、よく見ると彼が手に持っている木の実は腐っており、中身はスカス力の状態他の木の実を探そうにも、もう日が沈みかけていた。これ以上出歩くのは危険だということはココパンダーの界隈では常識である。それはタメロウも身に染みているようで、彼は少し思案してから腐った木の実を持って寝床に帰って行った。勿論私も彼の後を付けて行く。寝床に帰ったタメロウは自分のお腹をさすり、この空腹には耐えかねると思ったのか、渋い顔をしながら腐った木の実に口を付けた。

「ちょっとタメロウ! 腐った木の実なんて食べないでよ」それを見た私は、自分でも驚くような瞬発力でタメロウの前に飛び出し、彼の手から腐った木の実を取り上げていた。

「ユイユイ……突然何なんだよ。いつも言ってることだけど、俺が何を食べようと勝手だろ」

タメロウは迷惑そうな表情で反論する。……そんなに迷惑そうな顔をしなくたっていいじゃない。必死になっていた自分が恥ずかしくなって、お説教じみた言葉が口を付いた。

「良い木の実が見つけられなかったんでしょ?それなら、誰かに分けてもらえ1まいいじゃない」

「他人を頼るなんて、情けない事する訳が無いだろう」

「タメロウはいつもそう言うけど、私は情けないなんて思わないよ?」

「そう思ってるのはユイユイくらいだから」

溜息混じりに話すタメロウ。プライドが高いのか、他のココパンダーを信用していないのか。

「もう、そんなこと言うなら見ててよね!」

私はそう言って、ココパンダーの仲間を呼んた程無くして

「どうしたのぉ」と言ってのっそりと近所のココパンダーが現れる。

「少しご飯分けてもらえないかな?」

「勿論いいよお」

そう言うと近所のココパンダーは大量の木の実を持ってきて、思を着せることもなく帰って行った。

「ほら、困ったときはお互い様なんだよ。次は私達がさっきのココパンダーを手助けす粗ま良いだけなんだから」

私はそう言って得意げに鼻を鳴らし、先程貰った木の実をタメロウの手の上に乗せる。彼は複雑な表情を浮かべつつも、言い返すだけ無駄だと観念した様子だったので、満足した私は自分の寝床に帰ったのだった。

次の日目が醒めると、もう昼過ぎだった。腹の虫がそう言っている。何となく昨日のタメロウの様子が引っかかって、今日もまた私は彼の様子を見に行くことにした。いつものようにのんびりと歩き、彼の寝床までたどり着くと、気取られないようにそっと草むらをかき分ける。するとそこには―身体中に傷を負い、低い除り声を上げるタメロウが立っていた。

「タ……タメロウ? 何があったの……?」

思わず私は草むらから身を乗り出した。しかし彼は私に気付く様子もなく、森を抜けた先―人が行き交う街道を脱んでいる。嫌な予感がした私がタメロウに駆け寄ろうとしたその時、言葉とも付かない奇声を上げたタメロウは、身体の傷もいとわず全速力で街道を往く人に襲い掛かり、荷物を奪って森の反対方向に消えてしまった。

あんなのはタメロウじゃない。タメロウがあんな事をするはずがない。そう思いたくても、私が見慣れた彼の姿を見間違えるはずが無かった。考えられる可能性はひとつ一

タメロウは野生に目覚めちゃったんだ……。


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